エコビジネスデータバンク

バイオマスプラスチック、生分解性プラスチックを中心にエコマテリアル技術、開発動向を取り纏めた情報サイト。「バイオポリエチレン」「ポリ乳酸」「PHBH」などの注目素材を始めとし「紙製バリア材料」「リサイクル技術」等幅広い環境ビジネスの最新情報を届けます。

【最新情報】生分解性樹脂PLA コロナ禍でも高成長

 

 バイオマス由来生分解性樹脂として注目を集めるポリ乳酸(略:PLA)の最新情報を纏めました。

 

目次

 

 

PLAを取り巻く環境

化学品市場

 新型コロナウイルスの感染拡大により化学品市場は大きな打撃を受けている。経済の停滞や景気後退で自動車や家電等に使用される石油由来合成樹脂の需要は著しく低下している。一方、食品包装市場は堅調に推移している。

 

 

環境ビジネスのトレンド

  欧州をはじめに石油由来プラスチックからバイオマス由来プラスチックへの切り替えが進んでおり、バイオマス由来プラスチックの市場規模はコロナ禍においても2ケタの勢いで拡大している。循環型経済の実現目標は変わりなく、今後も環境ビジネスが席捲する。

 

PLA市場情報

 コロナ禍で化学品市場は打撃を受けるも、環境ビジネスのトレンドに変化はなく、バイオマス由来でかつ生分解性を有するポリ乳酸(PLA)の需要は引き続き高まっている。さらに、廃プラスチック問題への意識の高まりもポリ乳酸(PLA)の追い風となっている。

 しかしながら、石油由来プラスチックの価格が下落しており、バイオマス由来プラスチックから石油由来プラスチックへシフトする可能性がある。そんな状況下においてもブランドオーナーが持続可能な循環型経済の実現を達成するため、バイオマス由来プラスチックへの切り替えを引き続き行うことを表明している。

PLAの課題

  ポリ乳酸(PLA)の最大の課題は供給量だ。世界のプラスチック年間生産量は約4憶トンであるのに対し、ポリ乳酸(PLA)の年間生産量(2019年度)は20万トンに満たない。ポリ乳酸(PLA)生産最大手であるネーチャーワークス社が米国に生産能力15万トンのプラントを持っており、次いでトタル・コービオンPLA社がタイで年間2万トンを生産しており、その他ポリ乳酸(PLA)生産企業のプラントは小規模となっている。供給力が需要をはるかに下回り、今後も製品不足が続くと考えられる。

 

PLA今後の展開

  世界的に注目されるポリ乳酸(PLA)の需要は今後も伸びていくことが想定される。ネーチャーワークス社は、タイにポリ乳酸(PLA)の生産プラント新設を予定している。また、ポリ乳酸(PLA)への添加剤の開発(Bioworks株式会社)が進み、ポリ乳酸(PLA)の物性が向上している。現在、主用途となっている食品包装材料以外への展開が今後期待される。

技術内容評価

【新規性】

★☆☆☆☆

【経済への影響度】

★★★★★

SDGs貢献度】

★★★★☆

【実現性】

★★★★☆

【投資対象度】

★★★★☆

 

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外部リンク

・ネイチャーワクース HP

https://www.natureworksllc.com/Japan

トタル・コービオンPLA HP

https://www.corbion.com/

・バイオワークス HP(ポリ乳酸(PLA)改質剤メーカー)

https://bioworks.co.jp/company/