【海洋分解】注目素材PHBHを鍵とした循環システム構築へ(カネカ)
海洋分解性を示す新規材料として注目を集めるPHBH(カネカ社)を鍵とした生産、利用、廃棄を循環させる新たな循環システム構築の実証事業が進んでいる。
今回は京都高度技術研究所(通称:ASTEM)がリーダーシップを取って進めているバイオマス由来プラスチック循環システム構築事業を簡単に説明します。
目次
PHBHを鍵とした循環システム概要
海洋分解性を示す数少ないプラスチックとして注目されるPHBHはストローを始めとし、様々な市場で採用が増加している。このPHBHを鍵とした循環システムの概要はこうだ。1. 植物油を原料に製造されたPHBHを加工し、ごみ袋を製造。2. このPHBHごみ袋を使用して家庭から出る生ごみを回収してメタン発酵を行う。3. 生成したメタンガスを発電、プラスチックの原料とすることで循環システムを構築する。
環境省からの受託プロジェクト
今回紹介している循環システム実証事業は環境省から受託している。実証期間は最大2021年までとなっている。京都高度技術研究所(通称:ASTEM)がリーダーシップと取り、カネカ社がPHBHの製造及び成形加工を担当。メタン発酵はメタン発酵設備メーカーである日立造船社が手がける。循環システムのライフサイクルアセスメント(LCA)の解析は京都大学が担う。
各ステップの課題
1. PHBHからごみ袋を製造ステップ
PHBHからごみ袋を製造する場合、通常はPHBHに添加剤を加えて強度を向上させる。しかしながら、循環システムに適した材料としてはメタン発酵を効率的に進行する材料であることが望ましく、PHBHの純度が鍵となる。そのため、PHBH製ごみ袋の強度と純度の両立が課題となる。
2. 生ごみのメタン発酵ステップ
一番ネックとなるのがはやりメタン発酵の効率だ。短時間かつ高収率でメタンガスを生成出来るかが課題となる。また、メタン発酵では二酸化炭素が同時に生成することも課題となる。同プロジェクトでは生成する二酸化炭素を植物栽培に利用する予定。二酸化炭素の回収と植物栽培への供給が鍵となる。
3.発電、再プラ化ステップ
現段階では3ステップ目の検討は実施されておらず、課題は不明な状態。一方で、再プラスチック化を高効率で実現するためには、PHBHの原料となる油脂を解明することで、循環システムをうまく回せるかが課題となるだろう。
今後の展開
PHBHを鍵とする循環システムの構築を早期に実現するため、産官学が連携していく。同時にLCA評価をしっかり行い、本循環システムが環境にプラスの影響を与えるか見極めたい。
技術内容評価
【新規性】
★★☆☆☆
【経済への影響度】
★★★☆☆
【SDGs貢献度】
★★★★☆
【実現性】
★★☆☆☆
【投資対象度】
★★★★☆
関連記事
生分解性プラスチックの最新情報はこちら ↓↓
生分解性樹脂の最新情報
廃棄プラスチックによる発電技術情報はこちら ↓↓
廃棄プラスチックによる発電技術情報
外部リンク
・カネカ HP
・ASTEM HP
・日立造船 HP
https://www.hitachizosen.co.jp/
・PHBH解説 HP
https://www.kaneka.co.jp/solutions/phbh/