【海洋分解プラ】伊藤忠商事 ラクティプス独占販売権取得
伊藤忠商事が乳タンパク質のカゼインを原料とした生分解性(海洋分解性)プラスチックを製造・販売するフランスのラクティプス社が開発した「Lactips(ラクティプス)」の国内独占販売権を取得した。今回は伊藤忠商事の環境ビジネス拡大に関して詳細な情報を提供します。
目次
ラクティプス社とは?
ラクティプス社はフランスのジャンモネ大学発のベンチャー企業。乳タンパク質のカゼインを原料とした新たな生分解性プラスチックの製造を行っている。生産能力は1,500トン/年とまだまだ少ないものの、世界中から注目される新素材を製造する化学メーカーである。
カゼインを原料とした新たな材料の特徴とは?
最大の特徴は乳タンパク質のカゼイン由来のプラスチックであるため、バイオマス由来のプラスチックであり、生分解性、海洋分解性を示すことだ。また、低温で水溶性を示す。機能性としてガスバリア性(酸素ガスを通過し難くする性質)を有している。熱成形や押出成形が可能であり、既存設備で成形加工できることも普及を後押しするだろう。近年、一般家庭で堆肥化可能であることを示す OK Compost Home認証も取得している。驚くべきことに、Lactips(ラクティプス)は乳タンパク由来のプラスチックであるため、食べることが可能な程安全性が高い。
Lactips(ラクティプス)の課題と展望
Lactips(ラクティプス)は海洋分解性、可食性を示す非常にユニークな材料である。しかしながら、いくつか課題が挙げられる。1つ目は可食素材を原料とするため、世界的な飢餓問題のやりだまにあげられる可能性がある。ラクティプス社は余剰状態にあり、廃棄されてしまうカゼインの新たな使い道として開発を進めているが、食物問題が障壁となる可能性が考えられる。2つ目は供給体制だ。欧州ではラクティプス社とBASF社とが取り組みを始めており、年産1,500トンのペレット生産ラインを保有しているとされるが、世界で年間消費されるプラスチック総量4憶トンから比べると不十分であることは明確であり、汎用樹脂として供給することは不可能であると考えられる。
伊藤忠商事とラクティプス社との関係
伊藤忠商事は環境ビジネス強化の一環として、ラクティプス社と海洋分解性プラスチック(ラクティプス)の日本国内独占販売契約を締結した。すでにマーケティング活動を開始しており、紙製パッケージのコーティング剤、食品包装材料などに可能性を見出している。
技術内容評価
【新規性】
★★★☆☆
【経済への影響度】
★★★★☆
【SDGs貢献度】
★★★★☆
【実現性】
★★★★☆
【投資対象度】
★★★★★
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外部リンク
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