使用済みタイヤからカーボンブラック再生へ(ブリヂストン)
株式会社ブリジストンは使用後のタイヤを熱分解してカーボンブラックを再生する技術開発を進めることを発表した。同開発はENEOS株式会社との共同プロジェクトとなる。今回はブリジストン社とENEOS社との取り組みについて詳細な情報を提供します。
目次
株式会社ブリジストンとは
株式会社ブリジストンは世界的なタイヤの製造販売メーカー。コア事業は国内外のタイヤ事業となるが、工業資材、建築資材からゴルフクラブ、ゴルフボールなどスポーツ用品も手掛ける大手化学メーカーです。近年では「自然と共生する」「資源を大切に使う」「二酸化炭素を減らす」という目標を掲げ、環境対応商品の開発に注力している。
詳細内容
株式会社ブリジストンは使用済みタイヤを熱分解することで油分とカーボンブラックに分離・精製する技術を開発することを発表した。東京都小平市に構えるブリジストンイノベーションパーク内に実証プラントを導入し、熱分解によるケミカルリサイクル試験を開始するとのこと。同取り組みは新エネルギー・産業技術総合開発機構(通称NEDO)のグリーンイノベーション基金事業で実施する研究開発テーマとなり、ブリジストン社とENEOS株式会社との共同プロジェクトとなる。ブリジストン社が精密熱分解技術の開発を担当し、ENEOS社が熱分解で得られた分解油からブタジエンなどを精製する技術開発を担当する。精密熱分解技術を開発することでフィラーとして用いられているカーボンブラックを再生可能となる。さらに、分解油をリサイクルオイル化し、合成ゴムの原料であるブタジエンを製造することでタイヤのケミカルリサイクルを目指す。
引用:https://www.bridgestone.co.jp/corporate/news/2023060801.htmlより引用
タイヤの化学的構造
主成分は天然ゴムや合成ゴムなどのゴム成分となる。そこにカーボンブラックやシリカ、硫黄などの添加剤や充填剤を加えた複合材料である。さらに樹脂成分やオイルなどを添加することで加工性や物性をコントロールする。
技術内容評価
【新規性】
★★★★☆
【経済への影響度】
★★★★☆
【SDGs貢献度】
★★★★☆
【実現性】
★★★★☆
【投資対象度】
★★★☆☆
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外部リンク
株式会社ブリジストン
https://www.bridgestone.co.jp/index.html
ENEOS株式会社
NEDO
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カーボンクレジット市場開設へ(東証)
東京証券取引所がカーボンクレジット市場を2023年10月に開設することを発表した。7月に参加者登録の受付を開始。10月から売買を開始する予定。今回は東証が開始するカーボンクレジット市場に関する情報と関連情報をお届けする。
引用:東京証券取引所 - Wikipediaより引用
目次
詳細内容
東京証券取引所がカーボンクレジット市場を2023年10月に開設することを発表した。2023年7月から参加者登録を受け付け開始する。同年10月からカーボンクレジットの売買を開始する予定。当面の間は政府が運営するJ-クレジットが対象であり、料金は無料となる。しかしながら、取引きは法人や任意団体に限定される。カーボンクレジット市場に関するパブリックコメント(意見公募)も開始している。対象となるJ-クレジットは「省エネ」「再エネ(電力)」「再エネ(熱)」などの6種類となり、年間10億円程度の取引きが見込まれる。2024年には二国間クレジット制度への適応範囲拡大を検討するとのこと。
二酸化炭素の排出削減量をカーボンクレジットとして経済的に評価する取り組みが世界的に実施され始めている。削減目標を達成出来ない企業はカーボンクレジットを購入することで埋め合わせることとなる。一方、積極的な削減施策を行う企業はカーボンクレジット売却による利益を得ることとなる。東証によるカーボンクレジット市場開設による企業価値の大きな変化が生じる可能性が出てきた。
カーボンクレジットとは?
カーボンクレジットは炭素クレジットとも呼ばれ、企業が省エネ機器の導入、森林保全などを通じて二酸化炭素等の温室効果ガス排出削減効果をクレジット(排出権)として発行することを示します。東証はカーボンニュートラルに向けた、排出量取引としています。つまり、目標値と比較して二酸化炭素排出量の多い企業はカーボンクレジットの購入を迫られるため、経済的な損失が生まれます。一方、積極的に二酸化炭素削減に努める企業は目標値以上に排出量を削減できれば、カーボンクレジットを売却することで利益を生み出すことが出来る様になります。
二酸化炭素排出量の多い業界
・鉄鋼業
・化学工業
・機械製造業
上記業界は二酸化炭素排出量が非常に多く、カーボンクレジット制度導入により不利益を被る可能性が考えられます。
二酸化炭素排出量が少ない業界
・建設業
上記業界は二酸化炭素排出量が少ないことから、省エネ機器導入などにより二酸化炭素削減が容易であると考えられます。つまり、カーボンクレジット制度導入により利益が生じる可能性があります。
J-クレジットとは?
J-クレジット制度とは環境省、経済産業省、農林水産省が運営するベースライン&クレジットの制度であり、省エネ・再エネ設備の導入や森林管理等による温室効果ガスの排出削減・吸収量をJ-クレジットとして認証します。このクレジット制度を活用することで環境と経済の両立を目指すとしています。
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外部リンク
東京証券取引所
J-クレジット制度について
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バイオマス由来化粧品原料拡充へ(三洋化成工業)
三洋化成工業株式会社がバイオマス由来となる化粧品原料の拡充を発表した。米由来の新規素材「コメファイン」を日焼け止めに添加することで複数の機能性が発現可能となる。機能性かつ環境配慮型素材として採用を狙う。今回は三洋化成工業株式会社のバイオマス由来化粧品原料について詳細な情報を提供する。
目次
三洋化成工業株式会社とは
三洋化成工業株式会社は界面制御技術や微粒子製造に強みを有する総合化学メーカー。自動車、住宅、化粧品、パーソナルケア、電気電子、医療など幅広い分野に素材の提供を行っている。近年では売上の4割が自動車分野となっている。また、高吸水性樹脂(通称SAP:Super Abssorbent Polymerの頭文字)の製造販売では世界トップクラスである。
また、三洋化成品工業株式会社は化粧品業界向けの事業を強化するため、2019年に専門部門を設け、強みである界面制御技術や微粒子製造のノウハウを活かした化粧品素材の開発に力を入れている。
詳細内容
三洋化成工業株式会社が新たに開発した米由来のSPF(Sun Protection Factorの略)向上剤「コメファイン」は日焼け止めに添加することで紫外線を防ぐ機能を高めつつ、テクスチャーなどの使用感の改良が見込まれる。
日焼け止めに使用される紫外線吸収剤や紫外線散乱剤の課題を「コメファイン」は解決し得る材料とのこと。実際に「コメファイン」を添加することで紫外線吸収剤と紫外線散乱剤の使用量をそれぞれ25%減らしてもSPF50+(最高値)を維持することが可能となる。
また、「コメファイン」には米ぬか由来の天然紫外線吸収剤「フェルラ酸」が含まれており、紫外線吸収能力が高い。さらに「コメファイン」は乳化作用を有していることから紫外線散乱剤の分散性を高め、白浮きやべたつきを解消する効果もある。
紫外線吸収剤とは
紫外線吸収剤は材料自体が紫外線を吸収し、熱エネルギーや赤外線に変換することでエネルギーを放出させ、紫外線が肌に到達するのを防止します。紫外線吸収剤は透明で皮膚に塗った際に白くなりにくいが、化学物質による肌のかぶれを引き起こす場合がある。代表的な紫外線吸収剤として「メトキシけい皮酸オクチル」「t-ブチルメトキシベンゾイルメタン」などが挙げられる。
紫外線散乱剤とは
紫外線散乱剤は紫外線を反射、散乱させることで皮膚に紫外線をが到達することを防止する。一般的に用いられる紫外線散乱剤は金属酸化物であるため、白色粉末となる。そのため、日焼け止めに配合した際、白浮きする場合がある。代表的な紫外線散乱剤として「酸化チタン」「酸化亜鉛」が挙げられる。
技術内容評価
【新規性】
★★★★★
【経済への影響度】
★★★★☆
【SDGs貢献度】
★★★★☆
【実現性】
★★★★☆
【投資対象度】
★★★☆☆
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天然由来原料を用いた化粧品処方(池田物産)
植物由来化粧品原料供給へ(GSIクレオス)
化粧品原料の生分解性予測(資生堂)
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外部リンク
三洋化成工業株式会社
https://www.sanyo-chemical.co.jp/
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セルロースナノファイバーを使用した化粧品原料販売(中越パルプ工業)
中越パルプ工業株式会社がセルロースナノファイバー(CNF)「nanoforest(ナノフォレスト)を使用した化粧品用途向け原料の販売を丸紅株式会社と共同で始めたと発表した。今回は中越パルプ工業社と丸紅社が開始した取り組みについて紹介します。
引用:https://www.chuetsu-pulp.co.jp/wordpress/wp-content/uploads/2021/05/nanoforest.pdfより引用
目次
中越パルプ工業株式会社とは
中越パルプ工業株式会社は富山県に本社を置く中堅の製紙メーカーで、王子ホールディングス株式会社の持分会社。新聞用紙、印刷用紙、包装用紙など幅広い紙材料を製造・販売している。近年ではセルロースファイバー事業にも注力しており、水中対向衝突法(ACC法)で製造した「nanoforest(ナノフォレスト)」を上市している。
また、2018年には株式会社環境経営総合研究所との合弁会社「中越エコプロダクツ株式会社」を設立。中越エコプロダクツ株式会社では紙パウダーと石油由来のプラスチックをコンパウンドした「MAPKA(マプカ)」を製造している。
中越パルプ工業株式会社は「nanoforest」「MAPKA」など幅広い環境材料を手掛ける注目の環境対応企業である。
nanoforest(ナノフォレスト)とは
「nanoforest(ナノフォレスト)」は原料に未利用竹材を含む国産竹100%の天然繊維を用いているのが特徴。また、他社がラインナップするセルロースナノファイバーは化学修飾し、解繊しているのに対して、「nanoforest(ナノフォレスト)」は水の力を用いて解繊する水中対向衝突法(ACC法)を採用しているため、バイオマス率が高いことが特徴となる。また、水中対向衝突法(ACC法)を用いて解繊した「nanoforest(ナノフォレスト)」は親水面と疎水面を有する両親媒性を有する。
詳細内容
中越パルプ工業株式会社は水中対向衝突法(ACC法)で製造するセルロースナノファイバー「nanoforest(ナノフォレスト)」を使用した化粧品用途向け原料を丸紅株式会社と共同で販売することを発表した。化粧品市場では環境に配慮した原料、特にサスティナブルなバイオマス由来材料に対する需要が高まっており、販売拡大が見込まれる。ナノフォレストはチキソトロピー性を有しているため、増粘効果や保湿性向上、乳化材フリーでの乳化安定性向上に期待出来る。
実際に「nanoforest(ナノフォレスト)」は化粧品原料として、株式会社nijito社の「バウンドクッション」に採用されている。粉体分散性向上や乳化安定性、触感改良を実現したことが採用につながっている。
引用:https://www.haru-shop.jp/Form/Product/ProductDetail.aspx?shop=0&pid=122402より引用
さらに、同社のボディウオッシュ「スムースファイバーウオッシュ」、ボディミルク「スキンバリアミルク」に採用されているとのこと。
引用:https://www.haru-shop.jp/Form/Product/ProductDetail.aspx?shop=0&pid=15060101より引用
技術内容評価
【新規性】
★★★☆☆
【経済への影響度】
★★★☆☆
【SDGs貢献度】
★★★★☆
【実現性】
★★★★★
【投資対象度】
★★★★☆
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オーガニック米発酵原料(ファーメンステーション)
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外部リンク
中越パルプ工業株式会社
https://www.chuetsu-pulp.co.jp/
丸紅株式会社
王子ホールディングス株式会社
https://www.ojiholdings.co.jp/
株式会社環境経営総合研究所
中越エコプロダクツ株式会社
http://www.chuetsu-ecoproducts.co.jp/
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化粧品向けオーガニック米発酵原料を開発(ファーメンステーション)
株式会社ファーメンステーションが化粧品向けオーガニック米発酵液を開発したと発表した。独自の発酵技術を生かした新規オーガニック材料として注目したい。今回はファーメンステーション社のオーガニック米発酵液について詳細な情報を纏めた。
目次
株式会社ファーメンステーションとは
株式会社ファーメンステーションは未利用資源を独自の発酵技術で付加価値品に変換する研究開発型スタートアップ企業です。2009年に設立し、オーガニック米が原料のオーガニック認証を取得したライスエタノールや発酵エキスをはじめ、規格外の農産物などを使ったサステイナブルな発酵原料の開発に注力している。
詳細内容
株式会社ファーメンステーションが特許出願中の独自製法でオーガニック米を発酵、抽出することで医薬部外品原料に適合する発酵原料「オーガニック米発酵液」を開発したことを発表した。麹や酵母を選定することでアミノ酸含有量の高い米発酵液の製造を可能とした。同社が開発したオーガニック米発酵液は遊離アミノ酸18種類を含有する化粧品原料となる。国際的な認証となるオーガニック認証「エコサートCOSMOS認証」に申請しており、化粧品メーカーへの提案を進めている。
オーガニック米発酵液の表示名称は「コメ発酵液」となり岩手県で栽培された有機JASの認証を取得したオーガニック米を原料として使用している。環境意識の高い化粧品分野ではサステナビリティやトレーサビリティが求められるため、国産のオーガニック認証を得た発酵原料に大きな需要が見込まれる。
技術内容評価
【新規性】
★★★★★
【経済への影響度】
★★★☆☆
【SDGs貢献度】
★★★★★
【実現性】
★★★★☆
【投資対象度】
★★☆☆☆
関連記事
天然由来原料を用いた化粧品処方(池田物産)
植物由来化粧品原料供給へ(GSIクレオス)
化粧品原料の生分解性予測(資生堂)
コスメ分野に天然由来原料供給(ダイセル)
外部リンク
株式会社ファーメンステーション
農林水産省 有機JASマーク認証制度
https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/yuuki.html
キーワード
廃棄発泡ポリスチレンの油化装置導入(積水化成品工業)
積水化成品工業株式会社は株式会社積水化成品沖縄(沖縄県うるま市)への油化装置導入を発表した。海洋プラスチックごみ問題解決策の一つとして注目したい。
目次
積水化成品工業株式会社とは
積水化成品工業株式会社は発砲材料、特に発泡ポリスチレン(発泡スチロール)の製造販売の最大手企業。積水化学グループ企業であり、自動車用材料を海外展開している。また、近年では微粒子ポリマー事業も手掛けている。
株式会社積水化成品沖縄とは
株式会社積水化成品沖縄は積水化成品工業株式会社の完全子会社で、農水産物の輸送に使用される発泡ポリスチレン製の包装材料を製造販売している。特に、発泡ポリスチレン製の魚函(魚を入れる箱)の大手製造メーカーとして知られている。
引用:https://www.sekisuikasei.com/jp/products/food/eslen_beads-fish_box/より引用
詳細内容
積水化成品工業株式会社は完全子会社である積水化成品沖縄に油化装置を導入したと発表した。エコ・エナジーなどと協業して油化技術を開発している。発泡ポリスチレン製の食品容器や魚箱などを製造する際に排出される廃材(廃棄プラスチック)を油に再生する。製造した油は同社工場内で燃料として活用し、二酸化炭素排出量削減につなげる。
発砲スチロール協会の発表では発泡ポリスチレンの国内リサイクル率は92%と発表されているが、ケミカルリサイクル率は0.86%と著しく低い状況である。また、サーマルリサイクル(実質、燃焼処理)が38.2%と比較的高い水準となっており、今回の様な油化技術の導入は新たな取り組みとして期待されている。
技術内容評価
【新規性】
★★★★★
【経済への影響度】
★★☆☆☆
【SDGs貢献度】
★★★☆☆
【実現性】
★★★★☆
【投資対象度】
★★★☆☆
関連記事
外部リンク
積水化成品工業株式会社
https://www.sekisuikasei.com/jp/
株式会社積水化成品沖縄
https://okinawa.sekisuikasei.com/
積水化学工業株式会社
エコ・エナジー株式会社
キーワード
バイオマス由来グルコースから没食子酸などの有用モノマーへ変換 花王
花王株式会社は芳香族化合物である没食子酸および4-アミノ-3ヒドロキシ安息香酸(4, 3-AHBA)をトウモロコシやサトウキビ等の植物由来のグルコースから微生物を用い製造する発酵生産技術を開発したと発表した。今回は花王株式会社の新規発酵生産技術に関する詳細な情報を提供します。
引用:https://www.kao.com/jp/newsroom/news/release/2023/20230331-001/より引用
目次
花王株式会社とは
花王株式会社とはトイレタリー国内首位、化粧品においても国内最大手の化学メーカーとなります。原料から一貫生産し、独自の物流・販社システムを所有するため、競業他社と比較して安価で高品質な製品をラインナップしています。また、トイレタリー、化粧品分野のみならず幅広い分野にて研究開発を続けています。近年ではサステナビリティを重要視した企業活動を行っており、気候変動対策優良企業に選出されています。
詳細内容
花王社は洗剤用酵素で培った生産、研究知見を活用。 バイオマス由来のグルコースから化学原料(没食子酸、4, 3-AHBA)製造を可能にし、環境に優しい製品の安定供給への貢献が期待される。
没食子酸はウルシ科植物にできる虫こぶ(五倍子)から抽出される植物ポリフェノールの一つ。パソコンやスマートフォン等の電子機器の半導体、ボイラー用防サビ剤の原料など幅広く利用されている。ただ、樹木由来のため収量が天候に左右されやすく、生産地も限定されていた。
そこで花王社はグルコースから没食子酸を発行生産する技術に着目。多様な有用物質の発酵生産に用いられる産業用微 「生物「コリネ型細菌」に複数の没食子酸生産経路を導入し、かつ副産物生産の代 謝経路を抑制することに成功。コリネ型細菌を用い、 グルコースから没食子酸を高効率に発酵生産する技術を確立した。開発したコリネ型細菌は、グルコースから没食子酸への変換能力が元のコリネ型細菌より1・ 8倍程度増加した。 一方、バイオマス由来プ ラスチックの機能性向上に 向け、プラスチック素材の なかでも耐熱性、強度に優 れるポリベンズオキサゾール(PBO)にも着目。
その原料であ4, 3-AHBAをグルコースから生産することを行った。これまでグルコースから 4, 3-AHBAを生産する方法は確立されていなかったが、類似成分がコリネ型細菌のなかで生合成されていることを利用。独自開発した酵素をコリネ型細菌に導入することで、生合成経路の構築に成功。グルコースから4, 3-AHBAを生産する新たなプロセスを確立した。
引用:https://www.kao.com/jp/newsroom/news/release/2023/20230331-001/より引用
花王社は他の芳香族化合物も引き続き研究開発を進めていくことを発表しており、バイオマス原料を用いたバイオプロセスによる石油プラスチック代替原料の供給が期待される。
技術内容評価
【新規性】
★★★★☆
【経済への影響度】
★★★★★
【SDGs貢献度】
★★★★★
【実現性】
★★★★★
【投資対象度】
★★★★☆
関連記事
外部リンク
花王株式会社 HP