カーボンクレジット市場開設へ(東証)
東京証券取引所がカーボンクレジット市場を2023年10月に開設することを発表した。7月に参加者登録の受付を開始。10月から売買を開始する予定。今回は東証が開始するカーボンクレジット市場に関する情報と関連情報をお届けする。
引用:東京証券取引所 - Wikipediaより引用
目次
詳細内容
東京証券取引所がカーボンクレジット市場を2023年10月に開設することを発表した。2023年7月から参加者登録を受け付け開始する。同年10月からカーボンクレジットの売買を開始する予定。当面の間は政府が運営するJ-クレジットが対象であり、料金は無料となる。しかしながら、取引きは法人や任意団体に限定される。カーボンクレジット市場に関するパブリックコメント(意見公募)も開始している。対象となるJ-クレジットは「省エネ」「再エネ(電力)」「再エネ(熱)」などの6種類となり、年間10億円程度の取引きが見込まれる。2024年には二国間クレジット制度への適応範囲拡大を検討するとのこと。
二酸化炭素の排出削減量をカーボンクレジットとして経済的に評価する取り組みが世界的に実施され始めている。削減目標を達成出来ない企業はカーボンクレジットを購入することで埋め合わせることとなる。一方、積極的な削減施策を行う企業はカーボンクレジット売却による利益を得ることとなる。東証によるカーボンクレジット市場開設による企業価値の大きな変化が生じる可能性が出てきた。
カーボンクレジットとは?
カーボンクレジットは炭素クレジットとも呼ばれ、企業が省エネ機器の導入、森林保全などを通じて二酸化炭素等の温室効果ガス排出削減効果をクレジット(排出権)として発行することを示します。東証はカーボンニュートラルに向けた、排出量取引としています。つまり、目標値と比較して二酸化炭素排出量の多い企業はカーボンクレジットの購入を迫られるため、経済的な損失が生まれます。一方、積極的に二酸化炭素削減に努める企業は目標値以上に排出量を削減できれば、カーボンクレジットを売却することで利益を生み出すことが出来る様になります。
二酸化炭素排出量の多い業界
・鉄鋼業
・化学工業
・機械製造業
上記業界は二酸化炭素排出量が非常に多く、カーボンクレジット制度導入により不利益を被る可能性が考えられます。
二酸化炭素排出量が少ない業界
・建設業
上記業界は二酸化炭素排出量が少ないことから、省エネ機器導入などにより二酸化炭素削減が容易であると考えられます。つまり、カーボンクレジット制度導入により利益が生じる可能性があります。
J-クレジットとは?
J-クレジット制度とは環境省、経済産業省、農林水産省が運営するベースライン&クレジットの制度であり、省エネ・再エネ設備の導入や森林管理等による温室効果ガスの排出削減・吸収量をJ-クレジットとして認証します。このクレジット制度を活用することで環境と経済の両立を目指すとしています。
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外部リンク
東京証券取引所
J-クレジット制度について