牛のげっぷ由来のメタンガス発生を減少させる飼料用添加剤(DSM)
オランダDSM社が牛が吐き出すメタンガスを減らす飼料用添加剤の開発を発表した。実証試験ではメタンガス排出量を最大で80%削減出来ることが確認されており、地球温暖化問題の解決策の一つとなり得る。今回はDSM社の開発した飼料用添加剤の開発について詳細な情報を提供します。
目次
詳細情報
温室効果ガスとして知られているメタンガスの発生抑制を目的とし、DSM社が牛の吐き出すメタンガスを減らす飼料用添加剤「Bovaer」の開発を実施している。フィンランド最大手の酪農・乳製品メーカーであるバリオ社と協業で、乳牛に添加剤を加えた飼料を与えた場合のメタンガス排出抑制効果や牛乳の品質、加工性の評価を開始する予定。「Bovaer」の主成分である3-ニトロオキシプロパノールに牛の胃でメタンガスの発生を誘引する酵素の抑制効果が確認された。
乳牛の体調や飼料の消化・吸収を阻害することなく、乳牛のげっぷ中のメタンガスを30%削減可能。また、カナダでは1万5000頭の肉牛を対象に、2年間実施した大規模実証試験ではメタンガス排出量を最大で80%削減できることが実証されている。DSM社は同飼料用添加剤のEU当局による認証を待ち、2021年内に実用化する予定だ。
筆者の個人的な意見
今回紹介したDSM社のメタンガス発生を抑制する飼料用添加剤の開発は非常に興味深いと感じた。環境意識の高い欧州では牛のげっぷに由来するメタンガスによる地球温暖化を問題視しており、地球環境保護のために代替肉が流行しつつある程だ。メタンガスが抑制でき、安全性の高い飼料用添加剤が上市されれば、継続的な需要が見込めるだろう。SDGs、環境問題対策として非常に面白い切り口であり、十分投資対象となるだろう。
技術内容評価
【新規性】
★★★★★
【経済への影響度】
★★★☆☆
【SDGs貢献度】
★★★★★
【実現性】
★★★★☆
【投資対象度】
★★★★★
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外部リンク
DSM社 HP
https://www.dsm.com/japan/ja_JP/home.html
3-ニトロオキシプロパノールのメタンガス抑制に関する論文
https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201402294306087261