【サスティナブル】生分解性樹脂とセルロース複合化(王子ホールディングス)
王子ホールディングスが生分解性プラスチックとセルロースの複合化の上市を発表した。バイオマス材料であり、かつ生分解性を示すセルロースを添加した新たな材料を提案している。今回はこちらの新規サスティナブル材料をご紹介。
目次
技術開発背景
王子ホールディングスは海洋プラスチックごみ問題、二酸化炭素削減課題を解決するため、生分解性プラスチックに着目した開発を進めている。生分解性プラスチックの一部は強度や耐衝撃性に課題を有しており、他素材による補強が必要不可欠となる。そこで、王子ホールディングスは紙業で培ったセルロース技術を応用した新たな強化生分解性プラスチックの開発を行った。
新規技術内容
生分解性プラスチックであるポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)と1 μm ~ 30 μmのセルロース繊維を複合化したペレットをラインナップした。セルロース繊維を複合化することで、生分解性プラスチックの剛性が向上、耐熱性の改善及び耐衝撃性の向上が確認されている。完全生分解性材料として訴求力が高いと考えられる。
生分解性複合体の課題
同社の生分解性プラスチック+セルロース繊維複合体は各種物性が向上するものの、課題もある。セルロース繊維の成分(ヘミセルロース等)により茶褐色に着色してしまう。着色用途に使用する場合は酸化チタン等の添加剤にて対応は可能としているが、透明用途(フィルムやシート等)には不向きである。
また、セルロースの添加率は高い程、改善・改良効果が高いものの、食品衛生法の改正により食品に接する材料に使用するプラスチックの場合、セルロース添加率は30%までの添加量に制限されてしまう。
今後の開発方針
同社では生分解性プラスチックのラインアップ拡充のみならず、セルロース分解・抽出技術開発で培った技術力をもとに、新たなバイオマスプラスチックの技術開発を行っている。新規技術開発はNEDOプロジェクトに採択され、バイオマス由来ポリエチレンの開発を目指す。バイオマス材料関連の特許出願も精力的に実施しており、今後の研究開発に注目が集まる。
技術内容評価
【新規性】
★★☆☆☆
【経済への影響度】
★★★☆☆
【SDGs貢献度】
★★★★☆
【実現性】
★★★★☆
【投資対象度】
★★★★☆
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外部リンク
・王子ホールディングス HP
https://www.ojiholdings.co.jp/
・三菱ケミカル Bio-PBS HP
https://www.m-chemical.co.jp/products/departments/mcc/sustainable/product/1200364_7166.html
・ポリ乳酸PLA Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AA%E4%B9%B3%E9%85%B8