【技術革新】安価なセルロースナノファイバー供給へ(東亜合成)
東亞合成株式会社が二酸化炭素の負荷が少なくセルロースナノファイバーを低コスト化する技術を発表した。セルロースナノファイバーの低コスト化が実現出来れば、セルロースナノファイバーの実用化が進すむ可能性が高い。今回は東亞合成株式会社の新規技術について詳細な情報を提供します。
出典:CO2負荷の少ないCNF 東亞合成株式会社より引用
目次
東亞合成株式会社とは?
東亞合成株式会社は1994年に設立された化学品メーカーで、水酸化ナトリウムや次亜塩素酸ナトリウムなどの基幹化学品やアロンアルファで知られる瞬間接着剤などを製造販売している。売上高は1,500億円にのぼり、中期経営計画では高付加価値品事業の拡大やサスティナブル経営の推進を目標に掲げている。
東亞合成株式会社が挑む二酸化炭素負荷の少ないセルロースナノファイバー事業とは?
東亞合成社は2020年11月末に二酸化炭素負荷の少ないセルロースナノファイバー開発についてプレスリリースを行っている。プレスリリースの内容の要点を以下に纏めた。
東亞合成社はセルロースナノファイバーの権威である東京大学磯貝研究室と共同研究のもと、従来のTEMPO酸化セルロースナノファイバーと同程度解繊可能で、低コストな酸化セルロースナノファイバーを開発した。従来の物理解繊セルロースナノファイバーやTEMPO酸化セルロースナノファイバーは解繊時に多大なエネルギーが必要とされ、多くの二酸化炭素を排出してしまうことや製造コストが嵩むといった課題があった。
そこで、東亞合成社は自社で製造している次亜塩素酸ナトリウムを酸化剤として利用し、パルプを低コストで酸化。酸化により生じるカルボキシル基が電子的に反発することで、少ないエネルギーでセルロースナノファイバーまで解繊することが出来る。この酸化型セルロースナノファイバーは既存のセルロースナノファイバーと比較して5分の1程度まで価格を下げることができ、kg当たり数千円での製造の実現も可能とみている。また、通常のセルロースナノファイバーの固形分濃度が1~5%程度であるのに対し、酸化型セルロースナノファイバーは15%程度の固形分濃度での提供が可能であり、輸送面でもメリットがあると考えられる。
技術内容評価
【新規性】
★★★★☆
【経済への影響度】
★★★☆☆
【SDGs貢献度】
★★★☆☆
【実現性】
★★★☆☆
【投資対象度】
★★★☆☆
筆者の個人的な意見(あくまで個人の意見です)
国策として推し進められているセルロースナノファイバー事業ですが、現状kg当たり数十万円とコストの面から普及が進んでいません。また、基本的には水分散体での供給となるため、流通においても課題がある。バイオマス素材として期待しているだけに今後の展開に期待したい。東亜合成の新規技術によりセルロースナノファイバーの低コスト化が実現し、幅広くセルロースナノファイバーが普及することを願い、投資対象としたいと思います。
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外部リンク
東亜合成株式会社HP
東京大学 磯貝研究室HP
http://cellulose.fp.a.u-tokyo.ac.jp/