【新規技術】室温条件で二酸化炭素からメタン合成(静岡大学)
静岡大学 福原教授の研究グループは室温雰囲気下で二酸化炭素からメタンガスを製造する技術を開発した。
目次
既存技術
現在、欧州で実装されている二酸化炭素のメタネーション技術では約400℃の熱エネルギーを必要とするため、製造時のエネルギーコストが課題となっている。
世界中で低温条件下でメタレーション触媒の開発が行われているが、有望な触媒が見出されていない。
静岡大学 福原教授の新規技術
福原教授は触媒設計のみならず、原料ガスに独自技術を取り入れた。
原料ガスの二酸化炭素に酸素ガスを体積比率で10%程度予め加えておくことで、メタン化反応の反応温度を大幅に引き下げることに成功。室温でメタレーションが進行することを確認した。
通常、酸素を添加することは触媒反応では考えにくい。むしろ、合成化学者であれば、酸素や水の存在は触媒を失活させてしまうため、禁忌とされる。
福原教授の開発したニッケル/酸化セリウム触媒は酸素共存下においても触媒が失活せずに、二酸化炭素からメタンを高効率で生成することが出来る。
新規技術の一番の強み
二酸化炭素からメタンを生成する場合、原料として二酸化炭素を調達する必要がある。
二酸化炭素の調達先として考えられるのが、二酸化炭素排出量が多い火力発電所である。
しかしながら、火力発電所の排気ガスには二酸化炭素の他に酸素を5%程度含んでいるため、従来のメタレーション化を実施するには排ガスから酸素を除去する必要があった。
新規技術を使用することで、排ガスを脱酸素することなく、二酸化炭素をメタンに変換可能であることが最大の強みである。
化学産業への展開
メタンから合成ガスを製造し、様々な化学製品の原料として利用出来るため、メタンガスは非常に有用である。
新規技術を用いて二酸化炭素をメタンに変換し、メタンを様々な化学製品の原料とするプロセスが構築されることで、化学メーカーが環境対応型の製品を展開出来る可能性が高まる。
二酸化炭素削減の救世主となるか今後の研究開発に注目だ。