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【新規技術】藻類スピルリナのメッキで電磁波を吸収(パナック)

 

 

 パナック社が藻類「スピルリナ」のらせん形状に注目し、スピルリナに金属メッキを施すことで電磁波を吸収する素材の開発を進めている。

 

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【環境ビジネスデータバンク】スピルリナのメッキ 6G対応マイクロコイル

 

 

目次

 

 

パナック社紹介

 

 パナック社はフィルム事業を主力する企業で、機能性フィルムや複合化フィルムを製造販売している。近年では新規事業として藻類に注力し、ヘルスケアやサプリメントなどに展開している。

 

 

新規技術「スピルリナのメッキ」

 

 パナック社はスピルリナの螺旋構造に着目し、同志社大学の彌田教授が研究している「バイオテンプレート」技術を応用した藻類メッキ電磁波吸収シートを開発した。メッキ技術は奥野製薬工業が担当し、スピルリナの培養からシート化までをパナック社が担当する。この新規技術はスピルリナの螺旋状の制御技術が重要となる。電磁波吸収に適する螺旋のピッチ数や外径、角度を最適化した。

 

 

スピルリナメッキマイクロコイルの特徴

 

 スピルリナの螺旋ピッチ外径は20 μm、長さ0.1 mmに最適化されており、銅、ニッケルの無電界メッキをおこなっている。コスト面では一般的なマイクロスケールのコイルと比較して安価である。広域のテラヘルツ帯のノイズをマイクロコイルだけで吸収出来る特徴を有する。最大の特徴は、スピルリナ光合成により生産されるため、製造工程で二酸化炭素を吸収・削減が可能である点だ。

 

 

スピルリナメッキマイクロコイルの課題

 

 スピルリナメッキマイクロコイルの課題は吸収領域が超高周波であることだ。5Gの波長が28ギガヘルツであるのに対して、スピルリナメッキマイクロコイルが得意とする吸収領域はテラヘルツ域であり、適応範囲に限界がある。

 

 

スピルリナメッキマイクロコイルの今後の展開

 

 スピルリナメッキマイクロコイルが得意とするテラヘルツは超高速通信の6G以降のニーズに応えうる素材であり、既存の電磁波吸収技術では対応困難となる市場への投入が期待される。先ずは、79ギガヘルツ帯の車載ミリ波レーダーへの応用予定である。

 

 

終わりに

 

 スピルリナの螺旋形状に着目した唯一無二の発想は大変興味深い。また、スピルリナ二酸化炭素を吸収して生産されるため、環境調和型素材としても期待出来る。さらには既存技術では達成不可能なテラヘルツ領域の吸収性能を有するため、次次世代の6G通信への応用が期待され、数年~数十年後に世界的に注目される素材であると筆者は考える。

 

 

技術内容評価

【新規性】

★★★★★

【経済への影響度】

★★★★☆

SDGs貢献度】

★★★★☆

【実現性】

★★☆☆☆

【投資対象度】

★★★☆☆

 

 

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外部リンク

 

・パナック株式会社 HP

http://www.panac.co.jp/company/network/domestic.html

スピルリナ情報 HP

http://www.sp100.co.jp/spirulina/

・奥野製薬工業 HP

https://www.okuno.co.jp/