住友化学 ケミカルリサイクルに注力(3つのプロジェクト始動)
住友化学株式会社は「環境負荷低減」を全社の最重要課題の一つに掲げ、新たに研究グループを設立した。特にケミカルリサイクルに注力し、3つのプロジェクトが始動した。今回は住友化学社のケミカルリサイクルプロジェクトについて詳細な情報を提供します。
目次
詳細情報
住友化学株式会社は「環境負荷低減」を全社の最重要課題の一つに掲げ、新たに研究グループを設立した。約30人の研究者が在籍し、「環境負荷低減」に関する開発に挑戦している。なかでもケミカルリサイクルに注力し、大きく3つのプロジェクトを始動した。
可燃ごみからポリオレフィン製造技術開発
1つ目のケミカルリサイクルプロジェクトは積水化学工業社と協業で進める可燃ごみからポリオレフィンを製造するプロジェクト。積水化学工業社が可燃ごみを微生物を使ってエタノールに変換。得られたエタノールを住友化学社がエチレンモノマーに変換、得意とする金属触媒を用いてポリエチレンを製造する計画。
廃棄プラスチックからモノマー製造技術開発
2つ目のケミカルリサイクルプロジェクトは室蘭工業大学と協業で進める廃棄プラスチックから任意のモノマーを効率的に回収するプロジェクト。効率的に任意のモノマーを回収するための触媒設計やプロセス開発を共同で実施する予定。
低環境負荷メタノール製造技術開発
3つ目のケミカルリサイクルプロジェクトは島根大学と協業で進める低環境負荷メタノールを製造するプロジェクト。膜分離で回収した二酸化炭素と再生エネルギー由来の水素、そして廃棄プラスチックを分解して得られる一酸化炭素、二酸化炭素、水素の混合ガスから60~90%という高収率でメタノールを製造するプロセス、触媒を共同開発する計画。
技術内容評価
【新規性】
★★★★☆
【経済への影響度】
★★★★☆
【SDGs貢献度】
★★★★★
【実現性】
★★★☆☆
【投資対象度】
★★★★☆
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外部リンク
住友化学社 HP
https://www.sumitomo-chem.co.jp/
積水化学工業社 HP
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牛のげっぷ由来のメタンガス発生を減少させる飼料用添加剤(DSM)
オランダDSM社が牛が吐き出すメタンガスを減らす飼料用添加剤の開発を発表した。実証試験ではメタンガス排出量を最大で80%削減出来ることが確認されており、地球温暖化問題の解決策の一つとなり得る。今回はDSM社の開発した飼料用添加剤の開発について詳細な情報を提供します。
目次
詳細情報
温室効果ガスとして知られているメタンガスの発生抑制を目的とし、DSM社が牛の吐き出すメタンガスを減らす飼料用添加剤「Bovaer」の開発を実施している。フィンランド最大手の酪農・乳製品メーカーであるバリオ社と協業で、乳牛に添加剤を加えた飼料を与えた場合のメタンガス排出抑制効果や牛乳の品質、加工性の評価を開始する予定。「Bovaer」の主成分である3-ニトロオキシプロパノールに牛の胃でメタンガスの発生を誘引する酵素の抑制効果が確認された。
乳牛の体調や飼料の消化・吸収を阻害することなく、乳牛のげっぷ中のメタンガスを30%削減可能。また、カナダでは1万5000頭の肉牛を対象に、2年間実施した大規模実証試験ではメタンガス排出量を最大で80%削減できることが実証されている。DSM社は同飼料用添加剤のEU当局による認証を待ち、2021年内に実用化する予定だ。
筆者の個人的な意見
今回紹介したDSM社のメタンガス発生を抑制する飼料用添加剤の開発は非常に興味深いと感じた。環境意識の高い欧州では牛のげっぷに由来するメタンガスによる地球温暖化を問題視しており、地球環境保護のために代替肉が流行しつつある程だ。メタンガスが抑制でき、安全性の高い飼料用添加剤が上市されれば、継続的な需要が見込めるだろう。SDGs、環境問題対策として非常に面白い切り口であり、十分投資対象となるだろう。
技術内容評価
【新規性】
★★★★★
【経済への影響度】
★★★☆☆
【SDGs貢献度】
★★★★★
【実現性】
★★★★☆
【投資対象度】
★★★★★
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外部リンク
DSM社 HP
https://www.dsm.com/japan/ja_JP/home.html
3-ニトロオキシプロパノールのメタンガス抑制に関する論文
https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201402294306087261
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初出掲載:2021年2月8日
【脱石油プラ】二酸化炭素原料のエチレン合成法研究(ブラスケム)
Bio-PE(バイオポリエチレン)の製造メーカーとして有名なBraskem S. A.(ブラスケム)社が二酸化炭素を原料としたエチレン生産手法の開発を発表した。今回はブラスケム社の挑む新たな環境対応エチレン合成に関する詳細な情報を提供します。
目次
Braskem S. A.(ブラスケム)社とは
Braskem S. A.(ブラスケム)社はブラジル・サンパウロに本社を置くブラジル最大の石油化学メーカー。2011年1月には世界で初めてサトウキビ由来のバイオポリエチレンの商業生産を開始。環境意識の高い欧州を中心に、バイオポリエチレンを販売し、南アメリカ大陸で3番目に大きな化学メーカーへ成長している。
二酸化炭素を原料としたエチレン合成
Braskem S. A.(ブラスケム)社はイリノイ大学と共同で二酸化炭素を原料とした環境配慮型のエチレン生産の新たな手法開発に着手する。産業用ボイラーから排出される二酸化炭素を回収し、エチレンへ変換。その後、ポリマー化を経て環境配慮型のポリエチレンを製造する。イリノイ大学が電気化学的な二酸化炭素の還元反応を開発し、ブラスケム社がスケールアップを支援する。新規なカーボンリサイクル技術として期待される。
今後の展開と課題
バイオポリエチレンを製造するブラスケム社がカーボンリサイクルに乗り出すことは非常に興味深い。脱石油資源、二酸化炭素削減の観点からも技術開発の動向を注視したい。しかしながら、二酸化炭素をエチレンに変換する際に、イリノイ大学の技術を駆使する場合、電気化学的な変換が予想される。二酸化炭素の回収やエチレンへの変換時に多量の電力を消費することで、LCA値が石油由来のポリエチレンよりも高い可能性も十分に考えられる。「脱石油」「二酸化炭素原料」「カーボンリサイクル」といった言葉に騙されず、本当の意味での地球環境に優しい技術の見極めが必要となるだろう。
技術内容評価
【新規性】
★★★★★
【経済への影響度】
★★★★☆
【SDGs貢献度】
★★★★☆
【実現性】
★★☆☆☆
【投資対象度】
★★☆☆☆
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外部リンク
ブラスケム社 HP
ブラスケム社Bio-PE関連 HP
http://plasticoverde.braskem.com.br/site.aspx/plastic-green
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【ESG企業紹介】第5回 生分解性プラスチックの新工場設立(金発科技)
二酸化炭素削減、廃棄プラスチック問題、海洋プラスチック問題の解決に取り組む企業を紹介する企画の第5回目は中国のコンパウンド最大手の金発科技社。金発科技社は需要が拡大している生分解性プラスチックに関して、既存工場の増強と新工場設立を発表した。今回は金発科技社の取り組みについて詳細な情報を提供します。
目次
詳細情報
中国の金発科技社は2020年末に生分解性プラスチックの生産能力(珠海工場)を6万トンから17万トンに増強した。また、2021年度中に海南省にも生分解性プラスチックの新工場を立ち上げる予定。新工場の立地から生分解性プラスチックを輸出する拠点とする可能性が高い。
また、金発科技社は中国ネット通販大手のアリババなどと提携しており、生分解性プラスチックの引き合いが強まっていることから、生分解性プラスチックの増産、新工場の設立に踏み切ったかたちだ。今後は生分解性プラスチックの生産のみならず、社内に海洋プラスチックごみ問題やリサイクル用のプラスチック回収の課題に対応するサスティナブル推進室を設け、環境保護、リサイクルプラスチック事業を展開していく。また、日本にも営業拠点を設立し、トヨタ自動車、パナソニックなどとも技術開発などで連携を深めている。
企業のESG評価
【環境問題解決性】
★★★☆☆
【経済への影響度】
★★★★☆
【SDGs貢献度】
★★★★☆
【安定性】
★★★★☆
【投資対象度】
★★★★☆
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PHBH循環システムに関する情報
外部リンク
金発科技社 HP
http://www.kingfa.com/jp/portal/branch_detail/index/bid/121.html
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【エコビジ】バイオプラ市場拡大予測
海洋プラスチックごみ問題、持続可能な開発目標(SDGs)の浸透、サーキュラーエコノーミーへの転換を背景にバイオプラスチック市場が拡大している。2021年以降も堅調な成長が予測されている。今回はバイオプラスチックの分類や種類、バイオプラスチック市場情報を提供します。
出典:バイオマスプラスチック入門 – JBPAより引用
目次
バイオプラスチック市場拡大の背景
バイオプラスチック市場は環境意識の高い欧州を中心に拡大している。市場拡大を後押ししているのは海洋プラスチックごみ問題、SDGs、ESG経営の浸透と考えられる。特に世界的なブランドオーナーや流通企業を中心にバイオプラスチックの導入が急速に拡大している。日本においても「プラスチック資源循環戦略」が掲げられ、2030年までにバイオプラスチックを197万トン導入すると目標が存在するため、日本企業においてもバイオプラスチックの採用が拡大している。
バイオプラスチックの種類と分類
バイオプラスチックは生分解性プラスチックとバイオマスプラスチックの2種類に分類される。起源物質や性質が大きくことなるため、一色単にバイオプラスチックと理解するのではなく、生分解性プラスチック、バイオマスプラスチックに分かれていることを覚えておくべきだろう。
生分解性プラスチックとは?
バイオプラスチックの1つである生分解性プラスチックは名前の通り、自然環境で分解し、最終的に水と二酸化炭素に分解されるプラスチックを示します。原料は石油由来、植物由来を問わず、生分解するプラスチックであれば生分解性プラスチックに分類されます。特に注目されているのが3-ヒドロキシ酪酸とサンヒドロキシヘキサン酸の共重合体(PHBH)で、海洋分解性を有していることから欧州を中心に採用が拡大している。
生分解性プラスチック例
PLA:ポリ乳酸
PHBH:3-ヒドロキシ酪酸とサンヒドロキシヘキサン酸の共重合体
PBS:ポリブチレンサクシネート
PHA:ポリヒドロキシアルカノエート
バイオマスプラスチックとは?
バイオプラスチックの2つ目はバイオマスプラスチックである。バイオマスプラスチックは再生可能なバイオマス資源(植物など)を原料に合成されたプラスチックです。原料にトウモロコシ由来の澱粉や糖を用いることが多く、生分解性は問いません。しかしながら、プラスチックが焼却処分した場合でもバイオマスの持つカーボンニュートラル性から大気中の二酸化炭素濃度を数値上 上昇させないといった特徴があります。また、植物を起源に製造されるため、石油資源への依存度を下げることにも貢献出来ます。
バイオマスプラスチック例
BioPET:バイオペット(バイオマス由来モノマーを部分的に使用)
BioPE:バイオポリエチレン
BioPA:バイオポリアミド(バイオマス由来モノマーを部分的に使用)
Starch-compound:デンプンコンパウンド
バイオプラスチックの出荷量(日本)
バイオプラスチックの国内出荷量は2018年時点で、生分解性プラスチックが3,700トン、バイオマスプラスチックが41,057トンである。総バイオプラスチック出荷量の推移は、2015年では35,638トン、2017年では39,556トン、2019年では46,650となっており、直近5年間の市場成長率は約9%と高成長を遂げている。
出典: 日本バイオプラスチック協会より引用
今後のバイオプラスチック市場の予測
今後のバイオプラスチック市場の主軸は海洋分解性プラスチックになることは明確だ。ムーンショット型研究開発制度においても海洋分解性プラスチック関連のプロジェクトが3テーマ採択されており、約200億円規模の公的資金が投入される。海洋分解性プラスチック市場の動向に注目すべきだろう。既存のバイオプラスチックとしてはポリ乳酸(PLA)が大きく採用を拡大する可能性が高い。2020年のポリ乳酸輸入量は2019年度と比較して74%増加しており、生分解性プラスチックの主流となるだろう。
市場性評価
【新規性】
★★★☆☆
【経済への影響度】
★★★★★
【SDGs貢献度】
★★★★☆
【実現性】
★★★☆☆
【投資対象度】
★★★★★
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外部リンク
カネカHP
ムーンショット型研究開発制度採択テーマ
https://www.nedo.go.jp/content/100922202.pdf
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【ムーンショット】スイッチ機能を有する海洋分解性プラスチック(群馬大)
群馬大学の粕谷健一教授らの研究グループが塩分、pH、電位、摩耗、温度、圧力によって海洋分解のスイッチが起動する仕組みを組み込んだ新規な海洋分解性プラスチックの開発を開始する。この開発は内閣府が定めるムーンショット型研究開発制度「生分解のタイミングやスピードをコントロールする海洋生分解性プラスチックの開発」の一環として取り組む。今回は新たな海洋分解性プラスチックの開発に関して詳細な情報を提供します。
目次
詳細情報
概要
群馬大学の粕谷健一教授らの研究グループは化学的、物理的な刺激に応答してスイッチが入る海洋分解性プラスチックの開発に着手する。同開発はムーンショット型研究開発制度「生分解のタイミングやスピードをコントロールする海洋生分解性プラスチックの開発」の一環として取り組む。研究開発期間は最長で10年間。粕谷教授らは海洋分解する環境を想定し、微生物が少なく低温となる深海環境でも分解する完全新規な海洋分解性プラスチックの開発を目指す。
スイッチ機能とは?
スイッチ機能とはある特定の化学的、物理的な刺激を受けた場合にのみ分解がスタートする機能を意味する。新規の生分解性プラスチックを創出したとしても、日常使用しているときに分解しては問題となる。そこで、粕谷教授らの研究グループは深海環境を想定し、塩分、pH、電位、摩耗、温度、圧力を海洋分解のスイッチに採用した。
プロジェクトの展望
群馬大学の粕谷健一教授らの進める新規スイッチ機能を有する海洋分解性プラスチックの開発は内閣府主導のムーンショット型研究開発制度「生分解のタイミングやスピードをコントロールする海洋生分解性プラスチックの開発」の一環として取り組む。ムーンショット型研究開発制度では多額の研究資金が投入されるため、開発速度は飛躍的に加速すると予想される。また、プロジェクトへ東京大学、東京工業大学、理化学研究所等の名だたる研究機関の参画が決定しており、プロジェクトの成功に期待出来る。
現段階で電位と摩耗をスイッチ機能として取り入れる検討について手応えを感じており、早期にスイッチ機能を有する海洋分解性プラスチックの開発を進めるとしている。また、海洋分解性の評価方法が国際的に定まっていないため、海洋分解性に関する評価方法の確立も同時に進める。
技術内容評価
【新規性】
★★★★★
【経済への影響度】
★★☆☆☆
【SDGs貢献度】
★★★★☆
【実現性】
★★☆☆☆
【投資対象度】
☆☆☆☆☆
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外部リンク
群馬大学 粕谷研究室HP
http://greenpolymer.chem-bio.st.gunma-u.ac.jp/
ムーンショット型研究開発制度採択テーマ
https://www.nedo.go.jp/content/100922202.pdf