エコビジネスデータバンク

バイオマスプラスチック、生分解性プラスチックを中心にエコマテリアル技術、開発動向を取り纏めた情報サイト。「バイオポリエチレン」「ポリ乳酸」「PHBH」などの注目素材を始めとし「紙製バリア材料」「リサイクル技術」等幅広い環境ビジネスの最新情報を届けます。

酢酸セルロース微粒子「ベロセア」の開発事業が環境省委託事業に採択(ダイセル)

 

 株式会社ダイセルは化粧品原料となる酢酸セルロース真球状微粒子「ベロセアの開発事業が環境省委託事業に採択されたことを発表した。海洋分解性生分解性を有し、オーガニックコスメ素材としても注目される「ベロセア」に関する詳細情報を提供します。

 

 

 

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真球状酢酸セルロース「ベロセア」の自然循環図

出典:酢酸セルロース真球微粒子 BELLOCEA®|アプリケーション|株式会社ダイセルより引用

 

 

 

目次

 

 

 

 

 

詳細情報

 

 株式会社ダイセル酢酸セルロース微粒子「ベロセアをマイクロプラスチックによる海洋汚染問題が注目されるなか、自然循環型素材として開発を加速させる。

 

 

 

 

 

ダイセルセルロース材料

 

 ダイセル社は以前から口腔内崩壊錠用賦形剤として微結晶セルロースを製品化しており、セルロースの高い加工技術を有している。2021年2月時点でセルロースに関する特許出願は318件、2020年末~2021年1月には立て続けに酢酸セルロースに関する出願特許が公開されており、酢酸セルロース事業へ注力していることが伺える。また、ダイセル社と三和商会は共同で生分解性バイオマスプラスチックNEQAS OCEAN」を開発している(詳細はこちらの記事を参照)。

 

 

 

 

 

 

真球状酢酸セルロース微粒子「ベロセア」

 

 真球状酢酸セルロース微粒子BELLOCEAベロセアが2020年度の環境省委託事業「脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業」に採択された。ベロセアオーガニックコスメ素材としても注目されています(詳細はこちらの記事を参照)。

 


 

  ベロセアバイオプラスチック協会(JBPA)からバイオマスプラスチック及び生分解性プラスチックとしての認証を取得している。ファンデーションや日焼け止め用途以外にも基礎化粧品分野への用途拡大を見込んでおり、「オーガニック」「自然循環材料」をキーワードに環境意識の高い顧客の取り込みを行う予定。

 

 

 

 

 

技術内容評価

【新規性】

★★★★☆

【経済への影響度】

★★★★☆

SDGs貢献度】

★★★★☆

【実現性】

★★★★☆

【投資対象度】

★★★★☆

 

 

 

 

 

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外部リンク

 

株式会社ダイセル HP

https://www.daicel.com/

三和商会グループ HP

https://f-sanwa.jp/

 環境省「脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業」

https://www.env.go.jp/press/107210.html

 

 

 

 

 

関連タグ

農業・食品廃棄物を原料とするメタン発酵やバイオガス発電事業強化へ(鈴与商事)

 

 鈴与商事株式会社メタン発酵バイオガス発電の知見を育成する。鈴与菊川バイオガスプラントでのプロジェクトが化学技術振興機構のA-STEPに採用された。農業・食品廃棄物を原料とするカーボンニュートラルバイオガス発電が期待される。今回は鈴与商事のバイオガス発電に関する詳細な情報を提供します。

 

 

 

        鈴与菊川バイオガスプラントの外観写真

出典:鈴与菊川バイオガスプラントにおける共同プロジェクトの 「A-STEP(研究成果最適展開支援プログラム)」採択について|プレスリリース|鈴与商事株式会社より引用

 

 

 

 

 

 

目次

 

 

 

 

 

 

詳細情報

 

 鈴与商事株式会社メタン発酵バイオガス発電事業を強化する。鈴与菊川バイオガスプラントでの研究プロジェクトが科学技術振興機構のA-STEP(研究成果最適展開支援プログラム)に採用された。鈴与菊川バイオガスプラントでのプロジェクトは産業技術総合研究所静岡県工業技術研究所鈴与総合研究所と共同で実施する。

 

 

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バイオガスプロジェクトの全体フロー図

出典:鈴与商事ニュースリリースより引用 

 

 

 鈴与商事は2016年から鈴与菊川バイオガスプラントを稼働しており、農業・食品廃棄物を原料としてメタン発酵を行うことで微生物の力でバイオガスを製造している。農業・食品廃棄物としては静岡県内企業のベルファーム株式会社から排出されるトマトの茎根やエスエスケーフーズ株式会社から排出される食品残渣を使用している。

 

 

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静岡県内企業との連携によるメタン発酵プロセス

出典:鈴与菊川バイオガスプラントにおける共同プロジェクトの 「A-STEP(研究成果最適展開支援プログラム)」採択について|プレスリリース|鈴与商事株式会社より引用

 

 

 鈴与総合研究所が農業・食品廃棄物を原料とした発酵プロセスの発酵槽内の理化学分析を実施し、プラント運転を実施してきたが、微生物の機能予測は複雑系で理化学分析は不十分であった。そこで、産業技術総合研究所が有する大規模RNA/DNA解析技術を駆使し、良好な菌叢や微生物機能が維持されるプラント運営条件を探るメタン発酵の管理精度の飛躍的な向上が期待され、廃棄物の分解効率やバイオガスの発生量が向上が見込まれる。

 

 

 

 

 

技術内容評価

【新規性】

★★★☆☆

【経済への影響度】

★★☆☆☆

SDGs貢献度】

★★★☆☆

【実現性】

★★★★☆

【投資対象度】

★★★☆☆

 

 

 

 

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外部リンク

 

鈴与商事株式会社 HP

https://www.suzuyoshoji.co.jp/

 

産業技術総合研究所 HP

https://www.aist.go.jp/

 

 静岡県工業技術研究所 HP

https://www.iri.pref.shizuoka.jp/

 

ベルファーム株式会社 HP

https://www.bell-farm.jp/

 

エスエスケーフーズ株式会社 HP

https://www.sskfoods.co.jp/home/

 

 

 

 

 

関連タグ

 

軟包装印刷用グラビアインキをバイオマスインキへ切り替え(大日本印刷 DNP)

 

 大日本印刷株式会社DNP)が軟包装用印刷インキをバイオマスインキに切り替えることを発表した。これまで一部のブランドオーナー向けのみにバイオマスインキを使用していたが、今後は全面的に切り替えていく。今回は大日本印刷社のバイオマスインキへの切り替えに関して詳細な情報を提供します。

 

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【エコビジネスデータバンク】バイオマスインキへ切り替え 大日本印刷

出典: DNP 大日本印刷より引用

 

 

 

 

目次

 

 

詳細情報

 

 大日本印刷株式会社DNP)は軟包装印刷に使用するラミネート用グラビアインキをバイオマスインキに切り替える。2021年1月からバイオマスインキへの切り替えを行い、年間800t以上の二酸化炭素削減効果を見込んでいる。バイオマスインキは一部に植物由来の原料を使用しているが、石油由来インキと同等の物性を持ちあわせている。既存の石油由来インキと同様にレトルト用途、ボイル用途、電子レンジ用途などの高機能軟包装材への適応が可能。また、同バイオマスインキは日本有機資源協会によるバイオマスマークバイオマス10)を取得している。

 

 

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【エコビジ】有機資源協会 バイオマスマーク

出典:JORA バイオマスマークより引用

 

 同社はバイオマスインキへの全面切り替えを実施するとともに、廃糖蜜などの一部を原料に用いたバイオマスプラスチックバイオマテック」と組み合わせることで環境問題解決に貢献する予定だ。

 

 

 

 

 筆者の個人的な見解

 

 今回の発表では軟包装のラミネート用インキのバイオマスインキへの切り替えがターゲットとなっている。全てを切り替えた場合、年間800tの二酸化炭素削減が見込めるとされているため、ある程度の二酸化炭素削減効果があることは事実だ。しかしながら、大日本印刷社全体で排出している二酸化炭素総量は遥かに多いと推定される。今後はさらに様々な製品群のバイオマス脱石油化に期待したい。

 

 

 

 

技術内容評価

【新規性】

★★★☆☆

【経済への影響度】

★★★★☆

SDGs貢献度】

★★★★☆

【実現性】

★★★★☆

【投資対象度】

★★★★★

 

 

 

 

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PHBH循環システムに関する情報


 

 

 

外部リンク

 

大日本印刷株式会社 HP

https://www.dnp.co.jp/

 

有機資源協会 HP

https://www.jora.jp/index.html

 

 

 

 

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デンプンベースのバイオマス由来プレポリマー「アジプレン・グリーン」を開発(ランクセス)

 

 LANXESSランクセス)社がデンプンベースのバイオマスプレポリマーアジプレン・グリーン」を開発した。環境問題気候変動対策を目指す顧客獲得を目標に上市予定。今回は「アジプレン・グリーン」に関して詳細な情報を提供します。

 

 

 

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デンプンをベースとしたバイオマスプレポリマー開発(ランクセス)

 

 

 

目次

 

 

 

詳細内容

 

 ランクセス社がデンプンベースのバイオマスプレポリマーアジプレン・グリーン」を開発した。「アジプレン・グリーン」はMDIポリエーテルプレポリマーで、既存の石油由来のポリエーテルプレポリマーを代替することができ、耐久性の高いポリウレタンエラストマーの製造に適している。ポリウレタンはロールカバー、ホイール、コーティング、タイヤ等幅広い用途へ使用されるため、求められる強度に応じた「アジプレン・グリーン」の配合割合となるプレポリマーを製品としてラインナップする予定。

 

 

 

「アジプレン・グリーン」の特徴

 

 「アジプレン・グリーン」はデンプン由来のプレポリマーを含有しているため、既存の石油由来プレポリマーと比較して二酸化炭素排出量を20~30%削減することが期待出来る。また、既存の加工設備(重合設備等)で従来の処理方法を使用することが出来るため、新規なプロセス改良や、特殊な条件設定を行う必要が無い。

 

 

 

技術内容評価

【新規性】

★★★☆☆

【経済への影響度】

★★★☆☆

SDGs貢献度】

★★★☆☆

【実現性】

★★★★☆

【投資対象度】

★★★☆☆

 

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外部リンク

 

ランクセス社 HP

http://lanxess.co.jp/

 

ランクセス社 株価情報

https://www.bloomberg.co.jp/quote/LXS:GR

 

関連タグ

 

【エコビジ】バイオプラ市場拡大予測

 

 海洋プラスチックごみ問題、持続可能な開発目標(SDGs)の浸透、サーキュラーエコノーミーへの転換を背景にバイオプラスチック市場が拡大している。2021年以降も堅調な成長が予測されている。今回はバイオプラスチックの分類や種類、イオプラスチック市場情報を提供します。

 

 

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【エコビジネスデータバンク】バイオマス市場拡大予測

出典:バイオマスプラスチック入門 – JBPAより引用

 

 

 

目次

 

 

 

 

 

バイオプラスチック市場拡大の背景

 

 バイオプラスチック市場は環境意識の高い欧州を中心に拡大している。市場拡大を後押ししているのは海洋プラスチックごみ問題、SDGs、ESG経営の浸透と考えられる。特に世界的なブランドオーナーや流通企業を中心にバイオプラスチックの導入が急速に拡大している。日本においても「プラスチック資源循環戦略」が掲げられ、2030年までにバイオプラスチックを197万トン導入すると目標が存在するため、日本企業においてもバイオプラスチックの採用が拡大している。

 

 

 

 

 

バイオプラスチックの種類と分類

 

 バイオプラスチック生分解性プラスチックバイオマスプラスチックの2種類に分類される。起源物質や性質が大きくことなるため、一色単にバイオプラスチックと理解するのではなく、生分解性プラスチックバイオマスプラスチックに分かれていることを覚えておくべきだろう。

 

 

 

 

 

生分解性プラスチックとは?

 

 バイオプラスチックの1つである生分解性プラスチックは名前の通り、自然環境で分解し、最終的に水と二酸化炭素に分解されるプラスチックを示します。原料は石油由来、植物由来を問わず、生分解するプラスチックであれば生分解性プラスチックに分類されます。特に注目されているのが3-ヒドロキシ酪酸とサンヒドロキシヘキサン酸の共重合体PHBH)で、海洋分解性を有していることから欧州を中心に採用が拡大している。

 

 

 

 

 

生分解性プラスチック

PLA:ポリ乳酸

PHBH:3-ヒドロキシ酪酸とサンヒドロキシヘキサン酸の共重合体

PBS:ポリブチレンサクシネート

PHA:ポリヒドロキシアルカノエート

 

 

 

 

 

バイオマスプラスチックとは?

 

 バイオプラスチックの2つ目はバイオマスプラスチックである。バイオマスプラスチックは再生可能なバイオマス資源(植物など)を原料に合成されたプラスチックです。原料にトウモロコシ由来の澱粉や糖を用いることが多く、生分解性は問いません。しかしながら、プラスチックが焼却処分した場合でもバイオマスの持つカーボンニュートラル性から大気中の二酸化炭素濃度を数値上 上昇させないといった特徴があります。また、植物を起源に製造されるため、石油資源への依存度を下げることにも貢献出来ます。

 

 

 

 

 

バイオマスプラスチック例

BioPET:バイオペット(バイオマス由来モノマーを部分的に使用)

BioPE:バイオポリエチレン

BioPA:バイオポリアミド(バイオマス由来モノマーを部分的に使用)

Starch-compound:デンプンコンパウンド

 

 

 

 

 

バイオプラスチックの出荷量(日本)

 

 バイオプラスチックの国内出荷量は2018年時点で、生分解性プラスチックが3,700トン、バイオマスプラスチックが41,057トンである。総バイオプラスチック出荷量の推移は、2015年では35,638トン、2017年では39,556トン、2019年では46,650となっており、直近5年間の市場成長率は約9%と高成長を遂げている。

 

 

 

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【エコビジネスデータバンク】日本のバイオプラスチック出荷量(2018)

出典: 日本バイオプラスチック協会より引用

 

 

今後のバイオプラスチック市場の予測

 

 今後のバイオプラスチック市場の主軸は海洋分解性プラスチックになることは明確だ。ムーンショット型研究開発制度においても海洋分解性プラスチック関連のプロジェクトが3テーマ採択されており、約200億円規模の公的資金が投入される。海洋分解性プラスチック市場の動向に注目すべきだろう。既存のバイオプラスチックとしてはポリ乳酸(PLA)が大きく採用を拡大する可能性が高い。2020年のポリ乳酸輸入量は2019年度と比較して74%増加しており、生分解性プラスチックの主流となるだろう。

 

 

 

 

 

市場性評価

【新規性】

★★★☆☆

【経済への影響度】

★★★★★

SDGs貢献度】

★★★★☆

【実現性】

★★★☆☆

【投資対象度】

★★★★★

 

 

 

 

 

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外部リンク

 

カネカHP

https://www.kaneka.co.jp/

 

ムーンショット型研究開発制度採択テーマ

https://www.nedo.go.jp/content/100922202.pdf

 

 

 

関連タグ

 

【SDGs】環境配慮型樹脂拡大へ 伊藤忠商事

 

 伊藤忠商事が環境配慮型プラスチックの取扱量を拡大する。オーストリア石油化学大手メーカーのBoreailsボレアリス)社からバイオポリプロピレンの販売権を獲得した。今回は伊藤忠商事の環境ビジネス拡大に関して詳細な情報を提供します。

 

 

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【エコビジネスデータバンク】バイオポリプロピレンペレット

出典:ポリプロピレン再生樹脂|弘英産業株式会社より引用

 

 

 

目次

 

 

 

 

 

Boreails(ボレアリス)社とは?

 

 Boreailsボレアリス)社はオーストリアの大手石油化学メーカーでポリエチレン、ポリプロピレンといった石油由来プラスチックを幅広く製造・販売している。このボレアリス社がフィンランドバイオ燃料大手メーカーのネステから廃棄食用油を原料に製造されたバイオプロパンを購入。既存のプロパン脱水素法の設備で一部の原料をバイオプロパンに置換してバイオポリプロパンを製造している。原料一部をバイオマス由来に置き換えることで、マスバランス方式上「100%バイオマス由来ポリプロピレン」を製造している。また、製品は第三者認証機関から国際持続可能性カーボン認証を取得している。

 

 

 

 

 

マスバランス方式とは?

 

 マスバランス方式とは投入した総原料量と生産量の収支を考慮する方式。例えば、プラスチック100 kgの製造とすると、原料となるモノマーの20 kg つまり20%にバイオマス由来を使用し、残り80%に石油由来モノマーを使用して製造する場合がある。この場合、厳密には20%バイオマスプラスチックが100 kg製造されます。ここでマスバランス方式を採用すると、生産された100 kgのプラスチックのうち、20 kgを「100%バイオマス由来プラスチック」とみなすことが出来るという概念である。マスバランスの概念は紙、電力等の業界では幅広く使用されており、プラスチック業界にも今後浸透していく可能性が高い。

 

 

 

 

 

マスバランス方式のバイオマスプラスチックのメリットとは?

 

 

 

 

 

1. トレーサビリティの確保が可能

 

 マスバランス方式を採用した場合、再生可能原料(バイオマス由来原料)の投入量と製品の出荷量を厳密に管理する必要がある。そのため、原料調達から製品包装まですべてのバリューチェーン三者認証機関から監査を受けることとなる。こうした認証を取得した製品であれば、「100%バイオマスプラスチック」として安心して購入・使用することが出来る。

 

 

 

 

 

2. 可食原料と競合しない

 

 現行のバイオマス由来プラスチックの多くはサトウキビトウモロコシなどの可食資源を原料として使用している。一方、今回紹介するマスバランス方式を採用したバイオマス由来プラスチックは非可食性原料から製造される場合が多く、食品原料と競合しない強みがある。発展途上国食料不安を助長しない点は非常に大きいと考える。

 

 

 

 

 

3. 既存プラントを使用可能

 

 マスバランス方式を採用したバイオマスプラスチックの最大のメリットは既存プラントを使用して製造できる点である。基本的には石油由来原料の一部をバイオマス由来原料に置き換えるのみであり、既存プラントで問題無くプラスチックを製造することが出来る。現在普及しているバイオマス由来のポリエチレンは専用プラントを必要としており、増産が大きな課題となっている。

 

 

 

 

 

4. 既存プラスチックと同様の加工性や機械特性を持つ

 

 マスバランス方式を採用したバイオマスプラスチックは、既存の石油由来プラスチックの一部をバイオマス原料に置き換えたのみであり、基本的な加工性や機械特性は既存の石油由来プラスチックと同様である。そのため、ユーザーは既存の加工ラインで最終製品を製造することが出来る。

 

 

 

 

 

伊藤忠商事の環境ビジネス展開

 

 伊藤忠商事オーストリア石油化学大手メーカーのBoreailsボレアリス)社からバイオポリプロピレンの販売権を獲得した。今後はマスバランス方式を適応したバイオポリエチレンや廃棄プラスチック由来の再生プラスチック材料も取り扱う計画を発表している。マスバランス方式を普及させ、将来的に環境配慮型プラスチックの取扱量を40万t/年まで引き上げる予定だ。

 

 

 

 

 

技術内容評価

【新規性】

★★☆☆☆

【経済への影響度】

★★★★☆

SDGs貢献度】

★★★★☆

【実現性】

★★★★☆

【投資対象度】

★★★★☆

 

 

 

 

 

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PHBH循環システムに関する情報


 

 

 

 

外部リンク

 

伊藤忠商事 HP

https://www.itochu.co.jp/ja/

Boreailsボレアリス)社 HP

https://www.borealisgroup.com/

 

 

 

 

 

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【SDGs】東洋紡 2050年までにバイオマスプラスチック比率100%へ

 

 東洋紡株式会社が自社フィルム製品のバイオマス化を発表した。2050年までにバイオマスプラスチック含有製品比率を100%とする方針だ。今回は製品のバイオマス化に関して詳細な情報を提供します。

 

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【エコビジネスデータバンク】東洋紡 自社フィルム製品バイオマス化へ

 

 

目次

 

 

詳細情報

 

  東洋紡株式会社が自社フィルム製品のバイオマス化を発表した。2050年までにバイオマスプラスチック含有製品比率を100%とする方針だ。このビックプロジェクトを成功に導く鍵となるのが、100%バイオマス由来のポリエチレンフラノエート(PEF)だ。東洋紡ポリエチレンフラノエート(PEF)技術を有するオランダのアバンティウム社と長期的なパートナーシップを構築しており、2020年2月にはアバンティウム・ジャパンを設立させた。三井物産とともにポリエチレンフラノエート(PEF)市場の開発を進めていく予定である。

 

 

ポリエチレンフラノエート(PEF)とは?

 

 ポリエチレンフラノエート(PEF)バイオマス由来のエチレングリコールと糖質原料から製造されるフランジカルボン酸を原料として合成される100%バイオマス由来ポリマーである。世界的に幅広く使用されているポリエチレンテレフタラート(PET)樹脂に近い物性を持ち合わせ、飲料ボトルやフィルムなどへの用途展開が期待されている。最大の特徴は酸素ガスバリア機能を有している点で、PET樹脂と比較してポリエチレンフラノエート(PEF)酸素ガスバリア性が10倍程度高いことが確認されている。バイオマス率100%でありながら、ガスバリア性を有する期待の素材である。

 

 

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ポリエチレンフラノエートの構造

 

 

 

技術内容評価

【新規性】

★★★☆☆

【経済への影響度】

★★★★☆

SDGs貢献度】

★★★★☆

【実現性】

★☆☆☆☆

【投資対象度】

★☆☆☆☆

 

 

 

 

筆者の個人的な意見(あくまで個人の意見です)

 

 ポリエチレンフラノエート(PEF)バイオマス由来でバリア性が高く、世界的に注目されている材料である。ポリエチレンテレフタラート(PET)樹脂の代替素材としても期待されているが、コスト面や供給面からポリエチレンフラノエート(PEF)プロジェクトの断念が続いている。また、世界的に幅広く使用されているPET樹脂の置き換えとなるとそのハードルは一段と高くなると想像できる。もちろん注目素材ではあるが、ポリエチレンフラノエート(PEF)関連の投資には慎重になるべきだろう。

 

 

 

 

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PHBH循環システム(カネカ)


 

 

外部リンク

 

東洋紡株式会社HP

https://www.toyobo.co.jp/

Avantium(アバンティウム)社HP

https://www.avantium.com/

 

 

 

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